1946年10月27日、ミッシェル・バテュはパリに生まれました。幼い頃より、絵を描くことが好きで、建築家であった父が時々、デッサン用の大きな紙や絵筆をミッシェル・バテュに与えた事も、絵画の世界へと導く大きな要因となりました。10代の頃、誰もが寝静まった夜中、一人道具を広げて描くことに集中する事が幾度もあったといいます。
ミッシェル・バテュは、高校の頃から絵とデッサンに没頭するようになり、'62年から本格的に学び始め、'64年にパリ国立美術学校に入学しました。在学中にはギリシャ、アメリカ、カナダを旅し、世界的なレベルの展示会にも出展するようになりました。
ミッシェル・バテュは'67年にオーストリアで初めての個展を開きました。造形美術国家免状を取得した後、'71年にはパリ市から贈られたカーサ・ベラスケス賞により、スペイン、マドリードで奨学生として一年間滞在、異国で美術の腕を磨きます。
ミシェル・バテュはその後も着実に躍進を続け、'86年には1881年からの歴史を誇るフランス芸術家協会のサロンで最も偉大な栄誉賞を受賞。協会の会員および審査員も務めるようになります。'01年にはフランス文化功労ヴェルメイユ勲章が贈られました。これはフランスの名声に貢献し得る活動をした人を奨励、褒章するもので、卓越した人格者に授与されるものです。その他にも様々な賞を受賞し続け、'03年には名誉ある、フランス国防省海軍公認画家に選出されました。1830年創立以来、女性としては二人目という選出は、これまで重ねてきた彼女の実力の極みであるといえるでしょう。
写真家の夫を持つミッシェル・バテュは、世界各国を旅してきました。エクアドル、インド、タイ、イタリア、ルーマニア・・・。様々な世界、色々なものを純粋な目で見つめてきた経験と、自然から学んだ感覚が、ミッシェル・バテュの絵の特徴や技術、構図に反映されています。自然界を基本とし、大地の鼓動を感じさせるミッシェル・バテュの作品には、光と影のコントラストは勿論、そこから溢れ出るエネルギーには温もりを感じさせます。やがてそれは心の安息につながり、疲れきった心の中に再び活力を与えてくれるのです。そこには世界中を渡り続け、様々なアートシーンを吸収し、蓄積してきたバテュ自身の魂が反映されています。あたかも無の世界から自然の響きが伝わってくるような感じです。
現在、眺めのよいパリの自宅のほかに、フランス中部、サントル地方にある14世紀(1393年〜)以来の館にもアトリエを持つミッシェル・バテュ画伯。敷地内にはミッシェル・バテュ画伯の作品が飾られた美術館があり、一般公開されています。